「理学療法士」が教えるぎっくり腰になった時の対応とケアの仕方

はじめまして、腰痛専門blogマニアック腰痛(maniac_lbp)です。
普段は、理学療法士(リハビリ)として病院で外来勤務をしています。
本日はぎっくり腰についての対応とケアの仕方を伝えたいと思います。

アイタタタ…重たいものを持ち上げたらぎっくり腰に
なってしまった。もう痛くていたくて…どうすればいい?

大丈夫ですか?理学療法士のポールです。
私が、「ぎっくり腰」の適切な対応について説明します。
まず、抑えるべきポイント4つ紹介します。その後、細かく説明します。
- なるべく日常の生活を送る
- アイシング(痛い箇所を冷やす)
- ストレッチ
- 運動
これは私がぎっくり腰になった時に実際に取り組んだものになります。
そうです。私、働いて1年目にぎっくり腰(正式には急性腰痛症)を経験しました。
朝、目覚めた時になぜか1時間時計を読み間違え、「寝坊した!」と勢いよく起きたら徐々に腰痛と冷や汗が出たのを今でも覚えています。
腰痛の知識や、研究を行っていた身であったため、とてもショックでした。
だからこそ、その時に行ったケアなどを伝えられる!とも思っています。
さて、少し脱線しましたが
普段、理学療法士として働いていますが、ごくたまにぎっくり腰の患者様も担当
することがあります。といっても
ほとんどリハビリをすることはありません。

だって痛いときは何しても痛いものだよね。
ここで重要なのが、痛めてどのくらい時間(日数)が経過しているかです。
ぎっくり腰は、急性腰痛症の一部です。急性なのです。
足首をひねって捻挫したすぐは痛いですよね?これも急性です。
痛めてすぐは体の中でも様々な反応が出現します。
その代表が炎症と言われるものです。
腫れたり、熱を持ったり、赤くなったり…これらは炎症の症状であり、
体の中で起こっている異常に対するために生じる反応なのです。
ここで大事なのが、この体の中で起こっている反応を強めないこと

反応を強めないとは??どういうことですか??
ぎっくり腰でいうと、やたら腰に触らない、刺激しないことが大事です。

「ぎっくり腰で腰が硬くなってるからほぐしましょう」
とか言って痛い所をやたら触る人がいたら危険だね。
余計に痛みが悪化するから。
ただ、痛めている腰には触らなくても
痛めた腰によって動きが悪くなっている場所は楽にする必要があります。
特に、肩周囲(背中も含む)やお腹、お尻周りなどが挙げられるでしょう。
人間は痛い時には、反射的に自分の身を守る行動をとります。
筋肉も同様に、痛いときはグッと力を入れて固めやすくなります。
そのグッと力を入れる(入れてしまう)場所が肩周囲やお腹、お尻周りになります。
上記の場所をほぐしても腰に響いたり、痛みが増悪しなければケアをしましょう。
ここで、ぎっくり腰を経験した私が自分に行ったケアを紹介いたします。
私としては、このケアを継続して行ったことで回復が順調に行き、再び繰り返すことなく、現在まで生活できていると勝手に思っております。
①なるべく日常の生活を送る
昔であれば、良くなるまで安静に…なんて言われていた時代もありましたが、
現在は痛みがあっても動ける範囲では動く方が良いとされています。
治るまで安静にしていたら
・筋力や体力の低下
・血流不全(血行不良)
・関節の動きが硬くなったりと悪循環になります。
痛みがとても強い時は休む(寝っぱなしは×!)が、痛みが多少落ち着き、動けそうなら動ける範囲で普段通り生活をすることがとても大切です。
②アイシング(痛い箇所を冷やす)
アイシングには炎症を抑える効果があります。
痛みが出ている部位には血液がいっぱい集まり、冷やすことでその血流量を減少させることができます。
特に痛みが強い時期などにはしっかりとアイシングをしましょう。
※ただし、冷やすことで腰痛が悪化するようならアイシングは中止しましょう。
また、痛みのサインを送っている神経を鈍らせることで痛みの軽減を図ることができるのです。

冷やすときは15~20分を目安に。数セット繰り返そう。
ただし、長時間のアイシングは身体が冷えるから注意だね。
③ストレッチ
ストレッチは痛みが和らいできた時から(ピークを越えて)少しずつ始めましょう。
ここでのストレッチは腰部に直接関わってくるストレッチではなく
肩周囲やお腹・お尻周りへのアプローチを行います。
私は、複数のストレッチではなく、一つの動きを徹底して行いました。
それがこのパピーポジション(赤ちゃんのポーズ)です。
、
この姿勢は他の腰痛治療においても現場でよく使うポーズです。
※このポーズで痛みが強くなる場合はやめましょう。
できれば、うつ伏せのお腹の下にバスタオルやクッションを入れると
腰部への負担を減らすことができます。
このポーズの利点は
・お腹の筋肉、足の付け根の筋肉を伸ばす(ストレッチ)ことができる。
・胸椎と呼ばれる、肩甲骨付近の背骨を反らすことができる。
ぎっくり腰では腰が伸ばせない人が多く、背中が丸まった姿勢では
お腹の筋肉は縮まり、固くなってしまいます。
また、あくまでこの姿勢は腰を反らすのではなく、胸を反らすことが目的です。
胸の関節(胸椎)は可動性を出すのが大きな役割になっているので、動きが固く
ならないようにしましょう。
私は、この動きとアイシングを同時に行っていました
・アイシングは炎症の抑制、痛みの軽減を図る
・ストレッチでは胸周囲の動きを少しずつだす
アイシングをしている15~20分の間に先ほどのポーズを取ったりうつ伏せで休んだりを交互にゆっくりと行っていました。
さらに慣れてきたら、先ほどのポーズから頭を上げたり下げたりすることで
より背骨の動きを出すことができるので、痛みに配慮しながら徐々にできることを増やしていきました。
私の場合は、元の生活や仕事に戻るまでだいたい5日程でした。
基本的には1週間から2週間程度ぎっくり腰の痛みは続くと言われていますが、
ケアのおかげで比較的早く復帰できたと思います。
④お腹周りの運動
④に関しては私の持論になります。(大学院にて④の研究をしていました。)
私たち、理学療法士は現場でリハビリをする際に、医学的根拠(エビデンス)と呼ばれるものを取り入れながらリハビリを提供しています。

医学的根拠??…エビデンス??

エビデンスとは「証拠・根拠」のこと。
科学的に証明されていることを言っているのさ
例えば、慢性的な腰痛がある人は運動をすると腰痛が軽減すると証明されています。
そんな医学的根拠(エビデンス)ですが、急性腰痛には運動の効果がないと示されています。
ではなぜ運動を行うのか?
これに関しては、私が当時の研究のテーマで取り組んでおり、
自分の体で実験してみようとなかば興味本位で行ったのがきっかけでした。
ただし大前提に基本的に痛みが強い時期は、安静か動ける範囲での活動レベルが大切です。運動といっても、負荷は軽く、腰に負担をかけないにしましょう。
私が行った運動はドローイングとブレーシングです。
ドローイング、またはドローインって言葉はもしかしたら聞いたこともある人がいるかと思いますが、お腹周りにおける運動としてはとても大切な運動になります。
そしてブレーシングについては、私はこっちの方がとても大切だと
ギックリ腰を経験してから感じています。
この2つは共に、体を大きく動かさず ( 腹筋の上体起こしのようではなく )
にお腹の深い筋肉を働かせることが可能であり、身体への負荷も軽く、
利便性の高いエクササイズです (つまりやりやすい!) 。
体を大きく動かさないってのがミソ!
ぎっくり腰のような時は体をなるべく動かしたくないですよね。
そして固まってしまった筋肉を少しずつ動かして
痛みをやわらげることができる。
そういった、安全性を考慮しながら比較的早期に取り掛かれる運動が
ドローイングとブレーシングになります。
この2つの違いは、細かく説明すると長くなるので簡単に説明すると
ドローイング → お腹をへこませる ( お腹が背中にくっつくように )
ブレーシング → お腹を固める ( トイレで踏ん張る時みたいに )
違いはわかりますか?
日常生活で使うことが多いのはブレーシングです。
・重たいものを持つときに息をこらえる
・「ヨイショ」っと動きはじめめるとき
・トイレで踏ん張る などなど…
意外と日常生活でも自然とお腹に力を入れていることはあります。
そして私はこのブレーシングこそ特に意識して行う必要があると考えます。
それではブレーシングを説明します。
写真はうつ伏せで骨盤の下にクッションを入れた楽な姿勢をとっています。
ブレーシングでお腹を固めるのですが、
イメージとしては、お腹よりも腰側にも意識をしてほしいということです。
内側から外に向かって押し出す感覚です。
腰に手を当てながらこの運動を行うと腰も固くなるのが感じれます。
この運動を3秒力をいれてからリラックスを10回繰り返します。
※息をこらえると血圧が上昇する危険がありますので、
血圧が高い人は気を付けて行ってください。
また、息はなるべくとめないように心がけましょう。
※この運動で痛みが強くなる方はやめましょう。
むしろ、腰痛が楽に感じる方は継続しながら行ってみて下さい。
そしてこの運動の利点が
どこでも、どんな時も行うことができる。
写真ではうつ伏せですが、例えば仕事中もできますし、
テレビを見ながらも可能です。料理を作りながら、散歩しながら...
そういったところも利便性の良い所だと思います。
私もまだ痛みは残っていながらも仕事する時は
常に意識していました。
そうするとお腹の筋肉も使いやすくなり、体幹が安定する感覚を覚えています。
どうしても仕事が休めない、動かないといけないと思うこともあるかと思います。
ぜひ試してほしいです。
最後におさらいです。ブレーシングは…
- 体を大きく動かずに行える運動である
- 腰側を意識する事が大切
- 場所を選ばすに行うことができる
ぎっくり腰になってしまっている方は是非試してほしいですし、
この記事が必要としている方に届いてほしいと願っています。