人気記事

【ヘルスケア】産前・産後の身体の変化と腰痛

maniac-lbp

こんにちは、腰痛専門blogマニアック腰痛(maniac_lbp)です。

普段は、理学療法士(リハビリ)として病院で外来勤務をしています。
本日は産前・産後の身体の変化と腰痛という女性に特化したテーマを紹介します。

女性のヘルスケアにおいて、産前・産後の身体の変化とそれに伴う腰痛は
重要な課題であります。

妊娠・出産を通じて女性の身体は大きく変化し、
ホルモンの影響や姿勢の変化が腰痛を引き起こす要因となります。

さらに、出産後も育児動作や筋力低下が腰痛を持続させることが報告されています。この記事では、出産前後での腰痛の変化や、それを引き起こす要因をエビデンス
(科学的根拠)に基づき4つのカテゴリーに分け、それぞれに対する予防策やケアの方法を紹介いたします。

  1. ホルモンの影響による腰痛
  2. 姿勢の変化と腰痛
  3. 筋力低下と腰痛
  4. 育児動作による負担

1. ホルモンの影響による腰痛


・妊娠中にはリラキシンと呼ばれるホルモンが分泌され、骨盤周囲の靭帯が緩み、
 関節の安定性が低下する。
 この変化により、腰やお尻に負担がかかり、腰痛を引き起こす可能性が高まる。
                          (Smith et al., 2019)

ポール
ポール

リラキシンは産後2~3ヵ月頃から分泌されるために
その頃からの腰痛の訴えが増えやすいです。
これはあくまでもお産の準備に体が変化しているからであり
この時期に腰が痛いから骨盤矯正に行くなどないように!!


・産後はリラキシンの分泌が急激に減少し、関節が再び安定するが、適切なケア
 行わないと不安定な状態が持続し、慢性的な腰痛のリスクが高まるとされる。 
                        (Williams & Greene, 2020)

予防策・ケア方法

  1. 骨盤ベルトの着用
    産前・産後ともに骨盤を安定させるための骨盤ベルトを使用することで、関節への負担を軽減することができる。
  2. 適度な運動(おしり・おなかのトレーニング)
    リラキシンの影響で緩んだ靭帯を補うため、おしり(骨盤底筋群)や
    おなか(腹筋群)のエクササイズを取り入れる → 後ほど紹介します
  3. 姿勢の改善
    腰に負担をかけないため、長時間の同一姿勢を避け、正しい姿勢を意識。

2. 姿勢の変化と腰痛


・妊娠中は胎児の成長に伴い、おなかがでる(重心が前に)ため、反り腰が強くなる
 これにより腰や骨盤への負担が増し、腰痛の原因となる。(Chang et al., 2018)

・また、出産後は授乳や抱っこなどの動作が加わり、
 猫背や前かがみの姿勢が多くなり、腰痛を悪化させる。(Lindquist et al., 2021)

ポール
ポール

いずれもバランスを保つためにとる姿勢なので
妊娠中は腰痛が辛ければ横になるこや
授乳・抱っこでは長時間は避け、パートナーと交代しながら協力できるのが理想です。

予防策・ケア方法

  1. 適切な体幹トレーニング
    おなかの奥にある姿勢を支える筋を鍛えることで、腰の安定性を高める。
  2. ストレッチの実施
    足の付け根やおしりのストレッチを行うことで、腰への負担を軽減する。
  3. 正しい授乳姿勢の確立
    授乳時にはクッションを使用し、猫背にならないよう注意する。

3. 筋力低下と腰痛


・妊娠中は運動量が減り、産後も育児に追われ、おなかや足の筋力が低下する
 特に帝王切開(腹直筋離開)の場合、体幹の支持力が低下し、腰痛が起こりやすい。 
                         (Benjamin et al., 2019)

・出産時の負荷によって、おしりをしめる筋(骨盤底筋)の機能低下が
 生じることがあり、腰痛の原因になることが指摘されている。
                         (Kibsgård et al., 2020)

予防策・ケア方法

  1. 産後の体幹トレーニング
    体幹とよばれるおなか周りのエクササイズを行い、体幹力を回復させる。
  2. 骨盤底筋トレーニング
    尿漏れ予防だけでなく、腰椎の安定化にも効果的。
  3. ウォーキングやヨガの実施
    軽い運動を習慣化し、全身の筋力を回復させる。

4. 育児動作による負担


・産後は授乳や抱っこ、オムツ替えなどの育児動作が増え、腰への負担が大きい。
 特に長時間の抱っこや前かがみの姿勢が続くと、腰部の筋肉が過度に緊張し、
 痛みを引き起こす。                  (Park et al., 2021)

・夜間の授乳や育児ストレスによる睡眠不足が、腰痛の回復を遅らせる。
                           (Teyhen et al., 2019)

予防策・ケア方法

  1. 正しい抱っこ方法の習得
    腰を反らせず、膝を曲げながら赤ちゃんを抱くことで負担を軽減。
  2. ストレッチとセルフマッサージ
    特に腰背部の筋肉をほぐすことで、疲労を軽減。
  3. 睡眠環境の整備
    適切な枕や寝具を使用し、短時間でも質の良い睡眠をとる。


ポール
ポール

4つのことについて説明してきましたが、
共通する点はおなか・おしりの筋力トレーニングです。
ベルトを使用したり、環境を整えるのはもちろんですが
やはり大切なのは筋肉を動かすことになります。

ポール
ポール

ここでは、簡単だけど
とても効果の大きい運動を2つ紹介したいと思います。
運動が苦手・キラいな方でも是非行ってほしい運動です。

おなか凹ませ運動(腹横筋トレーニング)

写真はうつ伏せでやっていますが、姿勢は立っていようが座っていようが、
寝転んでいようがなんでも大丈夫です。

ポイントはおへそ(厳密には下腹部)をへこませる事です。

そして目一杯へこませなくても、苦しくないところでへこませる程度にしましょう。

この運動は、お腹の奥にあるインナーマッスルを刺激することができ、
腰痛持ちの人には効果的です。

さらに効果を高めたい人は、ろうそくの火を消すように口をすぼめて
息を細く、長く吐くようにしておなかをへこませるとより効果は高まります。

また、吐くときは母音のuかoの音を意識するとおなかに力が入りやすいです。

ぜひ、試してほしい運動です。

おしりぎゅっと締め運動(骨盤底筋トレーニング)


2つ目は、お尻の穴をギュッと締めるように力を入れる運動です。

この運動も体幹筋と言われる背骨を支える筋肉の一つであり、特に女性においては
尿漏れの原因になる筋肉です。

出産後は、骨盤の靭帯が緩み不安定になることで腰痛のリスクが高まります。

靭帯が元の状態に戻るまでは、筋肉をしっかり使って腰痛の悪化を防ぐ必要がある
ためにとても大切なトレーニングなります。

この2つのトレーニングの最大のメリットは、場所を選ばないことです。

外出先でも、仕事中でも簡単に行えるので、ぜひ取り組んでほしいです。

結論

産前・産後の腰痛は、
①ホルモンの影響 ②姿勢の変化 ③筋力低下 ④育児動作による負担など、
多くの要因が複合的に関与しています。

適切な予防策やケア方法を実践することで、腰痛のリスクを軽減し、
快適な育児生活を送ることが可能となる。

一人でも腰痛で苦しんでいる人の支えとなり、改善した時の喜びになることを信じて多くの人に届いてほしいと願っています。

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
マニアック腰痛
マニアック腰痛
腰痛ブロガー / 理学療法士
理学療法士(リハビリ)として病院外来勤務。
自身も腰痛を経験したことから、腰痛で悩む皆さんに腰痛情報をわかりやすく的確に伝えていきます。
ぜひcheckしてください。
記事URLをコピーしました