【リアル臨床】腰椎椎間板症のリハビリ記録

はじめまして、腰痛専門blogマニアック腰痛(maniac_lbp)です。
普段は、理学療法士(リハビリ)として病院で外来勤務をしています。
本日は【リアル臨床】として実際に腰椎椎間板症と診断された方の
リハビリ時の考え方や見方などを説明していきたいと思います。
似たような症状をお持ちの方や、私もこのような運動をやってみたら腰痛が良くなったなど必要な情報が、必要な方に届くことを願って情報発信をしたいとおもいます。
まずは腰椎椎間板症ってなに?と思う方はぜひこちらの記事をお読みください。

初めまして。あなたのリハビリを担当します。
まずはじめに現在の痛みや状態について教えてください。

去年の暮れにコロナウィルスに感染して、自宅療養で横になっている時間が多く、年明けに仕事に行こうとしたら腰が痛くて動けなくなりました。

具体的に痛みが出ている部分はどこでしょうか?
また、現在の痛みを10点満点で表すと何点でしょうか?
(10点満点が死にそうなくらいつらい痛みとした場合)

痛いのは両足の付け根と、右のお尻辺りに痛みを感じます。
点数は足の付け根が2~3点。腰は3点で
一番痛い時より少しずつ良くなっています。


お仕事は何をされていますか?

仕事はデイサービスの運転手をしています。
朝と夕方の1日4時間くらい運転しています。

今までに腰を痛めたり、
他の部位を痛めて病院に受診したりしたことはありますか?

過去にぎっくり腰を3回やっています。
また、左膝は半月板損傷と言われたことがあります。
今は右肩の肩甲骨辺りも痛いです…

普段の生活様式を教えて下さい。
日頃、どのように過ごされていますか?

普段は、椅子やソファの生活が多いです。
昔からあぐらはかけないです。
膝を痛めてからは正座もできません。
家の中では、比較的に動いている方だとおもいますが、
運動は嫌いです。
あと、30年くらい前に左もも裏の肉離れをしてから
同僚に歩き方が変だと言われた(かばっている)
また、いつも冬になると腰の調子が良くないです。
雪かきをしたのも腰によくなかったのかもしれない

わかりました。細かいことまでありがとうございます。
ここまでが問診での聞き取った情報になります。
話を聞くと色々と原因に繋がりやすそうな話も聞かれていました。
ここで問題となるような情報をピックアップしたいと思います。
- コロナウィルスに感染して、横になる(寝ている)時間が多かった
- 痛みが出ているのは両足の付け根と右のお尻あたり
- 過去にぎっくり腰を3回、左膝の半月板損傷、左もも裏に肉離れ
- あぐらをかけない(椅子やソファでの生活)
- 運動は嫌い

それでは次に体のバランスや筋力の評価を行います。
まずはその場で片脚で立つことはできますか?

左脚…右脚…、どっちも体が揺れるけど
特に右脚はバランスが取りにくいです。

次に立ったままかかとがお尻につくように
膝だけを曲げてみてください。

右…左…、あぁ!左のももの裏がつってしまったよ!

大丈夫ですか??
筋力が低下している可能性がありますね。

次に少し身体を触らせていただきます(触診)。
※身体のどこに力が入っていて、逆に入っていないか、左右差を見ていく。

右のお尻の方が左に比べて筋のボリュームが少ないですね。

え?本当ですか?
(自分も触り)本当だ。右の方が小さいですね。
今まで気づかなかったです。

では次にベッドに横になっていただいて
足の可動域(どのくらい動くか)を見ていきます。

昔から体は硬いんですよ。
特に足の付け根周りは動かしにくいです。

そうですね。特に左の股関節は外旋(あぐらをかく)という
動きで硬さが目立ちますね。
また、股関節周囲の筋肉も硬さがありますね。

はい。ありがとうございました。以上で評価を終わります。
いかがだったでしょうか。分面上のやり取りでイメージしにくいかもしれませんが
評価から見えてきたことを整理していきます。
- 片脚立ちは右脚でバランスが取りにくく、
右のお尻は左より筋のボリュームが小さい (右のお尻の筋力低下) - 膝を曲げた時の左もも裏をつった (左もも裏筋力の低下)
- 左の股関節の可動域制限(右脚よりも開きにくい:外旋の制限)
- 股関節周囲筋の硬さ(柔軟性低下)
- 身体を反った時、胸より腰の動きが大きい(胸の骨の動きが制限)
以上の問題点がでてきました。
問診で聞いた本人の訴えと、私が見た評価をすり合わすと…
・運動が嫌い → 筋肉の柔軟性の低さ
・繰り返すぎっくり腰や半月板損傷、もも裏の肉離れ
→ 腰や足の筋力低下により繰り返し痛めたり、肉離れを起こす
・痛みは両足の付け根と右のお尻のあたり
→ 骨盤周りに痛みの箇所があり、柔軟性の低さから骨盤に付着する
筋肉が固くなると骨盤の動きの制限がでやすい(腰に過剰に負担がかかる)
・あぐらをかけない → 足の付け根である股関節の可動域が制限されている
つまり、もともとの身体の状態にコロナという
短期間でも寝たきりのような状態にさらされたことでより筋肉・関節は硬くなったことが大きな原因と考えました。
現に、少しずつ動けることで痛みの症状の改善がみられていました。
ただ、もともとのベースが低いために、また痛めてしまう可能性もあり
柔軟性のエクササイズや、お尻の筋力強化を図っていく必要があります。
運動としては、特にお尻の筋肉やもも裏の筋力強化を図って
骨盤周りに付着する筋肉を動きやすくする必要があります。そのため効率がよいのは

このようなお尻上げ運動が良いでしょう。
ただ、お尻を高く持ち上げると腰に痛みがくる場合もあるために
痛くないところから行いましょう。
さらに効果を上げるためには、お尻のあなを締めるように力を入れることです。
意識がお尻に向きやすくトレーニング効率も増加します。
回数は10回を1セットとして2セットから3セット行いましょう
腰痛などはマッサージなどで治ることはほとんどありません。
自ら運動をして筋肉を動かすことが最短ルートだと思います。
少しずつで良いので運動をする習慣を身につけていってください。
【リアル臨床】は自分の症状って何なんだろう?他にも同じ症状の人がいるのかな?
と不安に思い、色々と調べる方もいるかとおもいます。
そのような人に一つの情報として、解決策まで導くヒントになればと思います。
一番は病院受診をしてしっかりと調べてもらうことですが、
走できない人はぜひ参考にしてみてください。